ニコニコと笑顔で現れた森知英さん。彼女は、今なおバンカラ文化の伝統を守り続ける進学校、岩手県立盛岡第一高等学校の出身。こんなかわいらしい人が、バンカラ応援団の和太鼓に合わせ、大声を張り上げていたとは!
「練習はとても厳しく、声が小さいと、前に出て正座をさせられるんですよ」
周囲のだれもが彼女の音楽高校行きを信じていた中、普通校への進学を強く希望した森さん。その理由は?
「音楽の道に進む、という気持ちがぶれたことは、一度もありません。ただ、いずれその世界にどっぷり浸ることがわかっていたので、その前にいろいろな経験をしておきたかったんです」
ピアノのレッスンは平均週2回。それでも、突き指を恐れることもなく体育の授業に、そして学校の行事にも、ごく当たり前のように参加した。さすがに部活までは、と思って尋ねてみると、
「いいえ、茶道部に入っていました。お菓子が食べたかったから」
と、いたずらっぽく笑ってみせた。
そんな彼女が、突如、表情を引き締めて語り出したのは、ベートーヴェンのピアノソナタ全曲演奏会を決意したころの話。
「ショパン・コンクールでディプロマをいただいたとき、これからは先生のもとを離れて自立しなくては、と思ったのに、なかなか自信が持てなくて・・・。そんなとき、ある方から『自信というのは、自分を信じることなんだよ』と教えられました。自信過剰はもちろん良くないですけれど、自分から逃げていては、自信は生まれてこない。難しいけれどやってみようと」
そして挑んだ全曲演奏会。結果は?
「自分ではよくわかりません。でも、今は根拠のない自信でも、それをひとつひとつ積み重ねていけば、いずれ本物の自信になるのかなって。現在は、室内楽にも力を入れているんですよ」
そう言って、再び笑顔を覗かせた。
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